第4回目の大村知事の東海大志塾のゲスト講師は慶応大学総合政策学部教授『上山信一氏』。
上山氏は昨年大阪維新の会の政策特別顧問を勤め、その手腕を発揮。今年4月からは大村知事からのラブコール(?)で愛知県の政策顧問を勤めている。
今回のテーマは『大阪維新と都構想』
上山先生はゆったりと落ち着いた口調で、内容がとてもアカデミックなので、非常に勉強になりました。
その主な内容を簡単にまとめてみましたので、お時間あるときに目を通してみてください。
・・・周知の通り、大阪市や名古屋市、あるいは愛知県などの地方自治体においては、その地域に住む住民が市長と議員をそれぞれ直接選挙する二元代表制の制度が取られているが、これがねじれの原因になっている。
議員の意見と市長、あるいは議員と知事の意見が合わないために、地域にとって大事な政策がなかなか決まらないという事態が多々起こってしまう。
これを防ぐために大阪維新の会は『組長制度』というイノベーションを考えた。これは組長と政党が一致していて、議席の過半数を取れば二元代表制でのねじれが解消できるというもの。
また政令都市において市と県の考え方が違うと、ここでも大きなねじれが出てきて何も決まらない上に、それぞれが勝手な事業をやる結果になり、これも大きなねじれの原因となる。
これらの究極のねじれ解消策は、ふたつの市と県(府)をひとつにまとめてしまうこと。これを実現するための構想が都構想。民意を聞きながらねじれを具体的に解消する統治機構となる。都構想では選挙というのがこれまで以上に非常に大切な意味をもつ。
今大阪維新の会では、都構想を実現するために法改正の準備は進んではいるものの、前途は多難。
何故ならば、日本には『衆議院』と『参議院』のねじれがある。たとえ法案が出されてもそれが通るかどうか分からない、というのが今の状況。→ものごとがなかなか決まらない。
なので、一番重要なことは日本の『統治機構』を改正すること。 →これまで長く続いてきた統治機構を変えないと結局何をやってもダメ。
それと、中央省庁の縦割りのしくみを変えること。
→どんなに素晴らしい学者や政治家、あるいは官僚が何か新しい政策を打ち出しても、何も決まらない。
・・・これも大きな問題。
<よくある質問>
▶何故分市ではなく特別区か?
現状の制度では金持ちの市が隣の税収の少ない貧乏な市にお金を分け与えるということができないので機能しない。例えば大阪だと北区や中央区などのビジネスの中心街のみに集中して税収は上がり、周辺地域から中央へ働きにきている人たちの住む地域にその恩恵はない。
というように、財政情勢上ムリ。特別区なら実現可能。
▶巨大な都庁ができると非効率?
地下鉄、バス、水道、ゴミ、病院、大学等の交通インフラや大きな施設を民営化することにより、巨大都市の非効率は防げる。それぞれの施設やサービスの機能が活性化することにより周辺市のメリットも大きい。
▶統治機構、制度よりも政策ではないか?
学者は政策を議論すればいいが、現実は議会で議決を経てものごとが決まっていく。ものごとが決まらないことが問題だから統治機構を変えるしかない。とにかくねじれを解消すること。やはり制度を変えて行くしかない。
▶他の政令市はどうするべきか?
それぞれの住民感情や税財政は違うので、それぞれがそれぞれの地域に合ったやり方を考えればいい。
そもそも政令市という名前が地方に対して失礼。
このような政令指定制度自体を廃止することから始めるべき。
以上
ひとこと。。。
今のところ愛知・名古屋の中京都構想が足踏み状態。
河村市長から、名古屋の周辺地域と名古屋を合体させた『尾張名古屋共和国を作ろみゃ〜』という構想が突然出てきたため、大村知事は『最初の話と違うがね〜』ということで、手をこまねいている状態。
名古屋は税収の大きい金持ちの市なので、周辺の税収の低い市と一緒になっても税を分け与えるだけで、何のメリットもない、と上山先生もおっしゃってましたが、周りの市町村との連携で合理的な行政が確立できるとは私も今のところは思わないです。
一刻も早く中京都構想の骨格づくりと肉付けを始めて欲しい。
yk
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